映画「映画(窒息)」 in 横浜シネマリン

 まずはじめに、この映画のタイトルは「映画(窒息)」であって「(窒息)」ではない。


 先日のケイズシネマに続いて横浜シネマリンで12月の2日、3日と観てきた。

12月2日(土)


 上映後の舞台挨拶には和田光沙さんと長尾元さん。

 観客に質問を募ったところ、最初は挙手したひとに和田さんがマイクを持ってゆき、途中から直接の対話形式に。私の聞こうとしていたことや聞きたかったことが聞けて観客のみなさんの質問はありがたかったな。

 私が聞こうとしていたのは「名前」のことで、そういう設定とはいえ許容されてよかったなぁと[;´ω`]。

 「和田さん演じる女のメイクが整っていた」という話に和田さんは「眉を描いてもらったくらい」とのことで、長尾さんは「メイクが整っているようにみえたのは演技のためではないか」と。私はモノクロによる効果もあったのではないかと思った。

 原始的な生活をしていることから、和田さんは「もっと髪をボサボサにしたり、薄汚れた感じのが…」と思ったそうで、長尾さんがそうしなかったのはそういうことを描きたかったのではないからなのでは、と。

 ケイズシネマでの舞台挨拶のとき、仁科さんが物語の展開のため「ヒゲを伸ばしたほうが…」と長尾さんに聞いたところ、「ヒゲのない仁科さんがいい」とのことで伸ばさなかったという話があった。個人的にメイクの話とつながったように思った。

 モノクロ作品なので、カラー作品とは違った色のものが使われていた。血は黒澤明さんの作品にならって少し粘度のある墨汁を。黒いアイツは実際は緑だったとのこと。特殊効果はわかりすいものだけでなく、照りなども調整されていたそうな。

 劇中の食べ物についてはビーフジャーキーとマカダミアナッツは認識できていた。あとアレ。男の作ったごちそうはモノクロ映えしそうな山の幸のお惣菜とのこと。行商人とは山の幸を海の幸と交換している、という設定だそうで。

「ひとを指差す」などボディランゲージが制限されていたというのも。地域によって意味合いが違ってきたりもするだろうし。

 海外での上映に向けての準備は進んでいるとのことで、すでによい評価ももらっているとか。ローカライズいらずなので、広がりはじめたらはやいのかも。

 自由度の高い撮影環境だったようで、スタッフが独自に動くことで長尾さんが意図していなかったものが盛り込まれたりもしたそうで。「深度」に関して「こうしたから」と事後報告されたりとかw。

 舞台挨拶後にロビーでZINEにサインをいただいた。

 物語に関連してくる雨。撮影時はまったく降らなかったそうで、雨のシーンのない作品ではありがたい状況なのに、降ってくれなくて逆にたいへんだったんだろうなぁと。

 雨は音楽にも関連していて、私はクラウドファンディングのリターンのサウンドトラックを持っている(いまも聴きながら書いている)。

 この作品の音楽を担当されているのは吉川清之さん。数多くの映画やドラマの音楽を手がけられているので、意識しないで聴いているひともいるのではないかと。

 「ねこのひげ」の音楽も担当されていたことに気づき、私もそのひとりだった[;´∀`]。この作品には仁科貴さんが出演されていたりも。DVDを持っているので観返さないとな。

 「映画(窒息)」は音楽が担う部分が大きいと思うし、サウンドトラックの音楽サイトでの配信があったらよいなぁと。クラウドファンディングとの兼ね合いや予算のこともあるので難しいのかもしれないけれども…。


12月3日(日)

 上映後の舞台挨拶には仁科貴さんと長尾元さん。せっかくの笑顔なのに痛恨のピンぼけoy2(補正はしたものの…)。

 観ていて疲れる…という感想を多く聞くとのことで、昨日と同じくまずは長尾さんより「お疲れさまでした」と。

 この作品の成り立ちのお話。長尾さんの初監督作品である「いつかのふたり」に続いてプロデューサーは棚橋公子さん。前作は棚橋さんからのオファーで、本作は長尾さんが企画を持ち込んで始動。

 「いつかのふたり」は4年前に横浜シネマリンでの初日を観に行っていた。

 棚橋さんは岐阜がご出身だそうで、岐阜でロケ地を探したところ、これ以上の場所はないという廃墟が。その廃墟はもちろん、周辺の趣が好ましくてなぁ。骨だけになった傘のような木とか、出かけるときに渡る短い橋のあたり(こんな感じ┏┛)とか。

 本作ではほぼすべてのシーンの絵コンテを作成したため、打ち合わせはしやすかったとのこと。クラウドファンディングのリターンの画コンテや台本をみるとしっかり組み上げられていることがよくわかる。

 棚橋さんが心配されていたのはセクシャルなシーンとバイオレンスなシーンの描写の度合い。モノクロなので肌や血などの色合い的な強さはないし、描写はマイルドだと私は感じた。

 仁科さんからは大阪での舞台挨拶つき上映を観にいらしていた知人のひとのお話が。上映が終わり仁科さんが登壇すると、予備知識なく観たそのひとは泣きそうな顔をされていたそうな。「どエラいものを観てしまった…」というような状態だったようで、それだけのインパクトを受けるひともいるんだなぁと。

 アクションシーンはアクション監督の根本太樹さんにおまかせだったとのこと。飛葉大樹さんは衣装の関係でほぼ裸状態、休憩なしで続けて何度も繰り返しての撮影だったため、たいへんだっただろうと仁科さんも話されていた。木製の仕切り板(?)に背中から落ちたりコンクリの床を転がったりしていたもんな…。

 挙手されるひとがいなかったので今回は私が質問を。とあるシーンについて、部分的に同時に複数台のカメラで撮影したのでは…とお聞きしたところ「すべて1台のカメラで撮影した」とのことでびっくり[°ω°]。ユニビジウムという2:1の画面比率のこともあって、そのシーンは描写とは別の美しさも感じたり。

 そのあとタイトルについて質問されたひともいて。

 設定上タイトルはつけたくなかったが、それでは興行が成り立たないため初期案として「映画」に。真綿で首を絞められるような世界のためカッコつきで窒息を追加して最終的に「映画(窒息)」となった。

 そのあいだの変遷などはZINE(パンフ)に書かれている。読みごたえのある1冊なので、興味をもったひとはぜひに!。

 そのZINEに触発されて書いたのが先日のブログ。ケイズシネマでのことも書かれているのでよろしければ。

 舞台挨拶後にロビーで改めてお写真を。ZINEにサインもいただいた。

 仁科貴さんというと、なんだかヒドい仕打ちに遭う役柄が多いように感じてて。「ベイビーわるきゅーれ」の和菓子屋さんもなかなかにキッツい役どころだったな[;´д`]。

 8年前に観に行った舞台もそんな役柄だったような…。



 一応の解釈はできているものの、わからない部分もまだ多くて。上に書いたとあるシーンもじっくり観たいのでまた行かないと。

 上映劇場はこちらから↓。

 12月5日(火)現在で上映中なのは横浜シネマリン、シネマロブレ、岐阜CINEX。

 上映予定は豊岡劇場が12月8日(金)より、宇都宮ヒカリ座が来年1月1日(月)より、出町座が未定で近日。


 最後に、プロデューサーの棚橋公子さんに感謝を。この作品を世に出していただいてありがとうございます!。