「ジョゼと虎と魚たち」

 原作も読んでたし、予告編は劇場でみてた。全然期待してないで観たんだけど、思いのほか良かった。原作を読み返してみた。原作には出てこなかった恒夫と同じ大学に通う女の子、ジョゼの幼馴染、建築会社の社長などなどの人物配置とその絡み合いが面白かったな。原作の"その後"も描かれていたし。そうそう、濃厚なキスシーンや濡れ場も何度かあるので、複数人で観るときは注意!(なにを?)。

 以下ネタバレ↓。


 原作では最後のシーンだったホテルの寝室でのシーンででてきたリュウグウノツカイにはゾクゾクさせられた。水族館を休みにしたのはコレを出したかったからなのかな?。虎に対しての魚はこのくらいじゃないと、ということか。闇にするりと現われて、そしてふわりと消えてゆくサマは印象深いなぁ。

 恒夫の軽薄さ、特に同級生の女の子と街でバッタリ会って喫茶店で話すシーンでの八方美人っぷりはあきれてしまったんだけど、ジョゼと別れたあとのふとした瞬間に泣き崩れてしまうシーンがより引き立った感じがした。

 ジョゼのほうは最初から覚悟ができていたようで、別れたあとは淡々と日常を過ごす。恒夫のことはすっかり忘れてしまったようにもみえるし、ちょっと寂しげではあるけれど、彼女にとってはこれが日常なんだろうなぁと。いたって普通の。